卵管が詰まっていると言われたら?

不妊検査のスクリーニングで卵管造影(HSG)というものものがありますが、その検査で異常を指摘された場合、体外受精へ大きくステップアップしなくはならないのでしょうか?

HSGでの異常とは何でしょうか?

  1. 片側、または両側卵管が閉塞している。検査で痛みがあった。
  2. 通ってはいるが、通りが狭く(狭窄)、検査で痛みがあった。
  3. 子宮に異常(ポリープや筋腫、中隔子宮 など)あり。

このような場合は、1、2は体外受精へステップアップが勧められることが多いです。

3は子宮鏡手術(TCR)の適応となりことがあります。後日ご説明いたします。

確かに卵管が通っていなければ、自然妊娠もくしは人工授精での妊娠は成立しないので、そのような説明が行われるのは一定の理解はできます。

しかし体外受精に進まなければならないのかと落ち込み、悩んでいらっしゃる方にまずはやっていたただきたい手術があります。

卵管鏡下卵管形成術(FT)です。ここからは卵管鏡手術の説明です。

卵管鏡手術とは?

卵管が詰まってしまったり、狭くなることで、卵子や精子が卵管を通ることができない、「卵管因子」による不妊症は、不妊症全体のうち大きな割合を占めています。

卵管鏡手術とは、こうした「卵管因子不妊」の患者様を対象にして、カテーテルと呼ばれる細い管を経膣的に子宮や卵管に挿入し、内視鏡で卵管内の状態を確認したり、癒着を剥離して通過性を回復させる体に負担の少ない治療法です。

(方 法)

  • 手術は低温期(排卵前)に行うのが良いとされるため、生理周期を確認しながら手術予定日を決定します。
  • 手術当日のスケジュールは2パターンあります。①手術当日の朝に入院していただき、手術施行後はその日の昼に退院できます。②手術当日の昼に入院していただき、手術施行後はその日の夕方に退院できます。当日の手術の件数によって午前・午後の手術に振り分けられます。
  • 手術中は基本的にご家族の方にも院内で待機していただきます。
  • 麻酔は静脈麻酔といわれる方法を用います。
  • 手術時間は両側で大体20-30分程度で終わります。

(成 績)

  • 卵管通過性の回復率は80%以上といわれています。
  • 術後の妊娠率は当院の成績では約25~30%程度となっています。
  • 3か月後の再閉塞率は0.5%程度です。

(合併症)

  • 手術自体が短時間で終わり、低浸襲の手術ですので大きな合併症はありませんが、術後感染などの可能性はありますので、抗生物質を投与いたします。
  • 術後、数日ほど出血が持続することがあります。

(費 用)

  • 窓口でのご負担金額は概算で16万円前後となります。ただし卵管鏡下卵管形成術は、医療保険が適応されていますので、高額医療費の対象になり還付金額が発生します。詳しい手続きなどは窓口でご確認下さい。

当院での治療スケジュール

当院では積極的にFT手術を推奨しております。他院で卵管造影や卵管通水試験を行って異常を指摘さらた患者様は、是非一度、ご相談ください。

最短で受診1-2日後に手術を計画することができます。

またFTをする周期であってもそのままタイミングや人工授精は実施できますので、1周期も無駄にしたくない方はご連絡ください。

予約システムは当クリニックのHPからアクセスできます。またtelでも対応しておりますので、まずはご連絡ください。