妊娠確率を考える

赤ちゃんを望んでいる夫婦の妊娠確率をご存知でしょうか?
これは縦軸が累積妊娠確率で、横軸が妊娠を目指した期間を示したデータです。
2年間の調査のデータですが、最初の6か月で、約8%、次の6か月で4%、再度の1年で1.5%となっています。

「1.5%」ってものすごく低いと思われたかもしれません。赤ちゃんを授かるというのは、思っているより奇跡だと言えますね。

不妊症って?

不妊症という言い方は、個人的にはあまり使わないのですが、この言葉でブログを見つけてくださる方もいると思うので、あえて使わせてください。

赤ちゃんがほしいと思っているのになかなか授からない…まずは、どうしてだろう?と漠然と思うのではないでしょうか。

どうしてなのか?

その疑問と原因をひとつひとつ取り除いていくのが、私たち生殖医療専門医の最初の仕事です。

まずは、客観的に不妊症と言われるものについて考えてみましょう。

 

不妊症の定義

不妊症の定義は2年間普通に夫婦生活をもっていても妊娠されない状態とされています。
しかしながら最近は2年は長いという考え方があり、「1年間妊娠されない状態」へと変更されつつあります。

ではどうして1年間や2年間という期間で定義されているのかというと、妊娠しない原因が分からないことが多いからです。

どうして妊娠しないの? 

不妊症の原因では男性25%女性25%となります。男女ともに原因となっている場合もあります。不妊症の残りの50%が原因不明となります。不妊症のスクリーニング検査を行うことでどこに原因があるのかが、判明しますが、検査をしても不妊の原因が分からない方が、約50%もいらっしゃるのです。言い換えれば二人に一人は原因が分からない方がいる。それは妊娠するためにもっとも重要となる、排卵、受精、着床といったところがきちっと行われているかが検査できず、分からないからです。

では、原因として分かるものではどんなものがあるのでしょうか。

この次のブログで詳しく紹介します。しかし、それは原因が分かっている50%の場合で認められるいくつかとなります。妊娠する仕組みは明確ですが、妊娠しない原因は分からない…不妊治療が難しい理由といえますね。

不妊クリニック(病院)へ行くタイミングは?

原因を知るためには、まず不妊クリニックに来院することをお勧めします。最初は躊躇するかもしれません。それは当たり前のことだと思います。まわりの友達は結婚したら妊娠したし、一緒に働いていた同僚もそろそろ子どもをと仕事を減らしたらいつの間にか産休に、海外出張ばかりの夫婦も授かっている…自分だって同じだろうと思うのは当然です。しかし、私の周りにも不妊治療で子供を授かったという方はたくさんいらっしゃいます。もちろん私の患者さんの話ではなく、実はね…と打ち明けてくれる友人もとても多いのです。そんな不妊治療卒業の方がよくいうのは、「早く、病院に行けばよかったよ」という言葉。一人で、いやふたりで悩んでいるより、早く専門医にみてもらうのが赤ちゃんを授かる近道になるでしょう。

病院にいく目安を参考にしてください。

  • 妻が35歳未満:1年以上経っても妊娠されない時
  • 妻が35歳以上:半年以上経っても妊娠去さない時

どれかに当てはまるでしょうか?

 

次回は、「原因がわかっている不妊の理由にはどんなものがあるのでしょうか?」をお伝えします。