妊娠初期の出血は流産と関連があるといわれています。今回初期出血に対してプロゲステロンを補充した場合に妊娠予後を改善するかどうかの大規模な臨床研究です。イギリスからの報告です。

A Randomized Trial of Progesterone in Women with Bleeding in Early Pregnancy.
 2019 May 9;380(19):1815-1824. doi: 10.1056/NEJMoa1813730.
Coomarasamy A, et al.

英国の病院48施設で、妊娠初期に性器出血をみた妊婦4038例を対象に、プロゲステロンの妊娠を継続するためにを無作為化プラセボ対照試験を実施しました。

その結果、主要評価項目に規定した妊娠34週以降の生産率はプロゲステロン群75%、プラセボ群72%だった(相対リスク1.03、95%CI 1.00-1.07、P=0.08)。多重代入法を用いた感度解析でもほぼ同じ結果が得られましたた(相対比1.03、1.00-1.07、P=0.08)。有害事象発生率に有意差は見られなかった。

解説

妊娠初期の出血は、日常診察で遭遇する現象です。血液中のプロゲステロン濃度の一時的な低下により出血がおこると考えられています。これに似たパターンが、高温期(排卵から月経までの期間)の出血が起こった場合に黄体(排卵した後残りの部分)からのプロゲステロンの分泌が悪く(いわゆる黄体機能不全という状態)、不正性器出血起こす場合に黄体ホルモンを内服や注射で投与することで出血を止める治療を行います。妊娠初期出血に対して黄体ホルモンを投与することで出血は抑えられて患者さんも安心できるため、大変有効な治療と考えておりました。今回この報告により、出血した妊婦さんに対して妊娠維持効果はないということが分かりました。もちろん投薬により出血が止まり患者さんが安心できるのではあれば、この治療を頭ごなしに否定はできないと思いますが・・・・。