フローラ?
私たちの腸内には多種多様な菌が存在し、腸内環境を整えています。顕微鏡で腸内細菌をみるとそれはお花畑のように見えることから、お花畑を表す〈flora(フローラ)〉 という言葉を使い、「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。一方、膣や子宮にも多種多様な細菌が存在しており、「子宮内フローラ」と呼ばれています。
善玉菌と言われているラクトバチルス菌は、膣や子宮内で糖を分解し乳酸を産生し、生殖器内を酸性に保ち、雑菌(悪玉菌)が繁殖するのを防いでいます。悪玉菌としては、抗生剤の服用をした後に、ヨーグルト状のおりものが出たり、痒みの原因となるカンジダ菌やおりものの臭いの原因となるガルドネレラ菌が挙げられます。その他、大腸菌や腸球菌なども悪玉菌です。これらの菌が多く存在する生殖器官は、炎症が起きている可能性があり、炎症が起きていると免役細胞の活動が上昇して、受精卵を攻撃、排除しようとします。そのため着床障害の原因となります。
ラクトバチルスが及ぼす影響は?
ラクトバチルス菌が少なくなると、悪玉菌の繁殖によって妊娠率、生児獲得率にも影響が出ることが分かっています。子宮内のラクトバチルス菌が90%以上の群(正常群)と90%未満の群(異常群)では、妊娠率は70.6%、33.3%、生児獲得率は58.8%、6.7%と2群間で有意な差(明らかな差があるということ)がでており、ラクトバチルス菌が生産率に大きな影響を与えていることが分かります。
ラクトバチルス菌が子宮内フローラ内で占める比率は?
どのようにして子宮内のラクトバチルス菌の比率を知ることができるのでしょうか?
検査はピペットを用いて子宮内腔液を採取し、その中に含まれる最近のDNAを検査機器で分析して菌の種類やラクトバチルス菌の割合を調べます。
通常の培養検査の場合は、子宮内腔に入る前に子宮の出口(子宮頚管)を通過するため、出た結果が子宮内腔の菌の割合を正確には評価できないことがあります。この検査はピペットを使って子宮内腔液を採取するのみなので検査時間も短く、痛みもそれほどないのが特徴です。
検査結果は約3週間でお伝えできます。
検査が推奨される方は?
①他社の子宮内フローラ検査で結果が感度以下と出た方
②帝王切開後の瘢痕があり、エコーで液体貯留がある方
③不妊治療をしても妊娠されない方
④良好胚を移植しても着床しない方
⑤流産や早産経験がある方、また繰り返している方
⑥これから妊娠を望むすべての方(特におりものの臭いが気になる方)
今から受けることはできますか?
現在は、検査をお受けできませんが、整備が整い次第実施してまいります。検査は2月1日からを予定しています。詳しくは担当医にご相談ください。