糖尿病や耐糖能異常の方が不育症になりやすいことは分かっていますが、妊娠前の血糖値が妊娠するまでの期間に影響するとの報告がありましたので、お知らせします。

Pre-pregnancy maternal fasting plasma glucose levels in relation to time to pregnancy among the couples attempting first pregnancy

Human Reproduction, Volume 34, Issue 7, July 2019, Pages 1325–1333, https://doi.org/10.1093/humrep/dez069

目的:中国人カップルの妊娠前の空腹時血糖と受胎能との関連性はあるのか?

方法:2015年から2016年に222万6048組の中国の第一子希望のカップルがこの研究に参加した。1年間フォローアップするもしくは妊娠したとの報告されるまで追跡した。

対象:最初のエントリーは350万7490組、20-49歳までのカップルであった。

エントリー中に妊娠した、妊娠はすぐに希望しない、不妊症と診断されている、子宮や付属器(卵巣卵管)に形態異常がある、妻、夫が梅毒に感染している、夫が男性不妊の診断がついている、夫が糖尿病と診断されている、月経周期が不規則である、月経データ、血糖データが不足しているやエントリー後、最初の月経周期で妊娠したカップルは対象外となった。

比較検討は、正常群、境界型群、糖尿病群で検討した。年齢、民族(漢、その他)、教育レベル、職業、持ち家率(都心、郊外)、嗜好品摂取率、BMI(Body Mass Index)、高血圧、感染症率(HBV)、TSH(甲状腺刺激ホルモン)値、結婚してからの期間、男性の年齢、男性のBMIに有意な差は認めず。

Fasting plasma glucose(FPG):少なくとも8時間禁食した状態で検査した血糖値
Free blood sugur(FBS):日本での空腹時血糖値

FPB=FBS×0.05551

結果:

正常なFPG群の12周期の累積妊娠率は42.29%で、耐糖能異常境界群の35.52%、糖尿病群31.52%と比較して有意性をもって高かった。受胎率オッズ比は正常群と比べ、境界群は0.82、糖尿病群は0.74と有意に低下した。最適なFPGレベル(最短なTTP:time to pregnancy;妊娠までの期間)は3.90-4.89mmol/L(70-88g/dl)であった

注意としては、FPG値やTTP計算が電話でのフォローアップ情報であり偏りがあること、第1周期目に妊娠したカップルはこの研究から除外したためも報告された妊娠率が低いことである。

結論

妊娠前の女性の空腹時血糖が上がっている場合は、TTPが延長するため、境界型の方や糖尿病の方は早期の医療介入が必要である。

 

この研究の対象となっている人は、女性側、平均年齢25歳、BMI21、男性側年齢27-28歳、BMI23となっております。つまり妊娠しずらい条件は入っていません。
私が知っている限り、1年時の累積妊娠率は70%と考えていたので、12か月後の累積妊娠率が42%という数字はかなり低いですね。

とは言え、血糖値コントロールが妊娠までの期間を短縮するうえで重要のようです。血糖関連検査(FBSやHOMA-R)を行ってみてはいかがでしょうか?

当院では平日朝から夕まで、土日祝日いつでも検査はできます。ただし食事後8時間以上空けて検査を受けてください。飲水は大丈夫ですが、糖の入っていないお茶やお水にしてください。

まずはネット予約かお電話(03-6450-7588)で受診予約を