卵子凍結とは、通常の体外受精の治療と同様に卵巣刺激して卵胞を育てて、適切な時期に採卵を行い卵子を凍結保存することをいいます。若い時期に卵子凍結しておくと妊娠しやすい卵子を保存でき、出産したいと思ったときにその卵子を使って顕微授精をすることができます。いつかは子どもが欲しいけど、まだまだ仕事がしたい、または、今はパートナーがいないという方にとって個人の事情に合せて妊娠時期を調整できるメリットがあります。

卵子の質はは年齢とともに悪くなっていきます。また年齢とともに卵巣機能も低下し、卵巣刺激をしても、多数の卵子を確保できなることがあります。若い時期に行う卵子凍結は将来子どもが欲しいと思ったとき、そのような理由で妊娠しづらくなることを回避してくれるのです。

もちろんいいことだけではなくデメリットもあります。これは卵子凍結に限ったことではなく、採卵される方に共通することですが採卵に伴うリスクや卵子凍結の限界などもきちんと理解しておく必要があります。

<採卵に伴うリスク>

 腹腔内出血(卵巣出血)、骨盤内感染(卵巣感染、卵管感染、腹膜炎)

 迷走神経反射(血圧低下、徐脈、ショックなど)、膀胱損傷、腸管損傷

卵子凍結の限界

・受精には顕微授精が必要です。

・凍結融解操作後の卵子の生存率は90%程度

・全ての卵子が受精するのではない(受精率50〜80%

・全ての受精卵が移植できるのではない(良好胚率50〜80%

このリスクがあることをきちんと理解した上で、卵子凍結のご希望がある方は、卵子凍結を行うことは本人の人生選択の自由と思われます。

ただし凍結した卵子を使った妊娠、移植については、年齢制限を儲けるべきであり高齢になってからの妊娠や出産には、様々な合併症を引き起こします。そのような理由から40歳までに卵子凍結、45歳までに融解顕微授精(学会ガイドライン)を行うことが望ましいです。

妊娠を可能とするために卵子はいくつ凍結すべきでしょうか?

 

 一人のお子さんの誕生に必要な凍結卵子数(生産率40-80%得られるために必要な個数)    

年齢 必要な卵子個数 年齢 必要な卵子個数
25歳 7~19個 35歳 13~33個
30歳 9~20個 40歳 17~45個

Aylin Pelin Cil, M.D. at el; Age-specific probability of live birth with oocyte cryopreservation: an individual patient data meta-analysis    Fertility &Sterility Vol.100, No.2, August 2013p492-499をもとに算出



いかがでしたか? 卵子凍結の技術は改善してきたとは言えます。ただし上記を見ると必要な卵子の数はかなり多いことが分かります。1~2回の採卵で全ての卵子を確保するには、なるべく若いうちに採卵・卵子凍結が望ましいと分かります。