人工授精(intrauterine insemination:IUI)の妊娠率は女性側の年齢により大きく異なります。一般的な話としては、排卵誘発剤を使用しない場合は2-3%、排卵誘発剤使用した場合は4-5%となっています。
年齢を考慮した場合のIUI妊娠率は、35歳未満 8-9%、35歳-40歳 4-8%、40歳-45歳 0.5-4%、45歳以上 0.25-0.5%となっています。タイミングはこのほぼ半分の確率です。
いかかですか?確率は決し高くないですね。とは言え、IUIで妊娠する人はいるわけで、IUIでの妊娠確率が低いからとってすぐに体外受精とは気持ち的にすぐにいかないと思います。
なるべくIUIでの妊娠率を少し上昇させることを考えたいですね。1年前の論文ですが興味深いものがありましたので、ご紹介します。
人工授精関連の記事はこちら
Q&A 4 人工授精のタイミングはどうしたらよいですか?
人工授精(IUI) 周期で洗浄前総運動精子数は生児獲得の予測因子となるか?
Endometrial scratch injury before intrauterine insemination: is it time to re-evaluate its value? Evidence from a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
Fertility and Sterility, Vol. 109, Issue 1, p84–96.e4 January 2018
子宮内膜スクラッチによる刺激により、排卵誘発剤を用いて卵巣刺激したIUI周期にどのような影響を及ぼすかを調べるために系統的レビューとメタアナリシスを実施。
対照と方法
対象は卵巣刺激でIUIを実施した不妊女性。IUIを実施する周期と前周期にスクラッチを行った群とスクラッチを行わなかった群をコントロール群として無作為対照試験を分析の対象とした。刺激はクロミッドやレトロゾールの内服で途中必要に応じて追加でHMG製剤の投与もあった。スクラッチの実施時期については月経8日目頃であった。
結果はオッズ比で表した。主な検討結果項目は、臨床妊娠率、継続妊娠率、多胎妊娠率、子宮外妊娠率、流産率とした。
8件の研究がメタアナリシスの対象となり治療周期は1871周期。
結果
スクラッチ群とコントロール群で臨床妊娠率はオッズ比2.27、継続妊娠率のオッズ比は2.04と有意に上昇した。多胎妊娠率のオッズ比は1.09 流産率のオッズ比は0.80、子宮外妊娠のオッズ比は0.82であった。妊娠率のオッズ比は上昇したが、スクラッチ実施による妊娠予後への悪影響はなかった。
またスクラッチの時期別での評価では、臨床妊娠率のオッズ比は2.57、継続妊娠率のオッズ比は2.27と有意に上昇したが、全周期のスクラッチの効果は認めなかった。
いかがでしょうか? IUIでなかなかうまくいかない場合、同じやり方ではなく少しやり方を変えてみるのもアリではないでしょうか?
当院ではIUI-スクラッチを実施しております。IUIスクラッチをご希望の患者様は一度クリニックにご来院ください。
受診をご希望の患者様は、予約サイトもしくは
電話(03-6450-7588)でご予約をお取りください。