Q 現在29才で採卵3回移植を4回行っています。全く着床せず検査も特に異常がなく困っています。
子宮収縮検査は未検査です。4回とも胚盤胞1個移植してます。今後の治療は、何をしたらいいでしょうか?
また新鮮胚移植や2個移植等出来る病院に転院した方がいいでしょうか?残り4BBの胚盤胞1個残っています。
Answer
3回移植→陰性のため、腹腔鏡下両側卵管切除術施行(卵管水腫のため)
ET4回目3CA→AHA(透明体開口術)実施 融解時6CA ホルモン補充周期
それでは確認していきましょう。 移植されたグレードは問題ないので着床障害が焦点になってきます。
ERA(子宮内膜着床能検査)、EMMA(子宮内膜マイクロバイーム検査)、 ALICE(感染性慢性子宮内膜炎検査)、 CD138(慢性子宮内膜炎組織検査)
通常受精後5,6日目に胚盤胞なった場合は、移植周期の排卵後5日目に移植を行います。これで大概の方が着床しますが、2-3%の方で着床の窓がずれていることがあります。それを調べるのがERAです。EMMAは子宮内の菌の組成を調べる検査です。もともと無菌と思われていましたが、実は菌がいてラクトバチルス菌がいます。90%以上とそれ未満との群で着床率に有意な差がでています。ALICEは慢性子宮内膜炎の原因となる菌がいるかを調べる検査です。該当する菌がいれば、それに足して感受性のある抗生物質を投与することで治療ができます。CD138は慢性子宮内膜炎を確定診断するための組織検査のことを指します。特殊な器械で子宮内膜組織を一部採取してCD138という免役染色を行い診断します。
CD138で陰性を確認 ERA、ALICEやEMMAで病原菌なし、ラクトバチルス菌が90%以上という結果であれば、おおよそ検査ができている状態です。
ERAではズレはなかったのでしょうか? ご年齢から良好胚盤胞が獲得でき、それを移植されているのでHCGの数値がでないということは考えづらいと思われます。妊娠判定は尿検査ではなく血液検査を行っていますか?
ズレはないとのことですが、融解後の胚がBL6になっていますので、そのクリックで移植されるのであれば、試しに1日遅く移植してみるという手もあります。
銅亜鉛検査
銅が高いと着床障害の原因となります。血液検査を行い銅が高ければ、亜鉛のサプリメントを服用します。
亜鉛のサプリは内服されているとのことですが、銅亜鉛の検査を行って、銅の値を確認した方が良いと思われます。通常亜鉛は15mg/日で摂取することが多いですが、銅の値によっては120mg以上など大量に服用しないと銅が下がらない方がいらっしゃいます。ぜひ検査できるクリニックを探して検査しましょう。
移植法
ホルモン補充周期で移植を3回しても結果が出なければ、自然排卵周期です。一度実施されてますが、卵管水腫は着床障害の原因となっていた可能性がありますので再度、採卵して自然排卵周期で行ってみてはどうでしょうか?
当院のケース
当院の患者様でCD138(内膜炎)の検査を実施し陽性のため投薬をしましたが、なかなか治癒しなかったのですが、水腫の手術を行ったら治癒できた方がいらっしゃいました。CD138をすでに実施しているので問題ないかと思いますが、再度検査してみても良いかもしれません。
エコー動画
通常着床期の子宮内膜は動きません。受精卵をじっとして待っている状態です。時々子宮の内膜が動いている方がおられます。エコーを膣に挿入して一定期間子宮内膜の動きを確認するために検査を行います。
エコー動画(子宮収縮検査)の話はしていませんが、ET後に腹部に違和感や痛み、またET時に内膜の動きがあるのであれば、ダクチル(子宮収縮抑制剤)を処方してみても良いかもしれません。
PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)
29歳で染色体異常の胚が発生する確率は30%もないと思います。2回で陽性は通常であれば出るはずなので、PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)は必要ないと思いますが、検査対象に該当するのであれば、クリニックに相談してみてもよいでしょう。
まとめ
今回のご質問の方は、幅広く検査を行っておられます。再度採卵して良好胚盤胞を獲得し、自然周期移植、その際できれば良好胚盤胞とそうでないCの付くグレード胚と合わせて2個戻しをお勧めします。
一日も早く良い結果がでるよう祈っております。
みなさんが日頃、胸に抱いている疑問や不安などがありましたら、ご質問を受け付けておりますので、どしどしお問い合わせください。