精子にフレンドリーな環境?

人工授精や体外受精治療中の方の精液の提出には、現在採精カップをお渡ししてご自宅で
採取して持参していただいております(採精室が狭く蜜のため、メンズルームの使用を中止しております。)。

最近まで寒い日が続きましたので、ご持参いただいたカップを手にするとヒヤッと感じるくらい冷たく精子に影響があるのではないかと思っていました。また患者さんから「どのような状態で持参するのが良いのか?」とのお問い合わせが、数多く寄せられましたので、ちょっとした調べてみました。

持参の方法は、人肌程度の温度なのか、常温なのか、気にしなくても良いのかDrによる意見は様々ですが、仙台ARTクリニックさんのデータによると常温(20−25℃)程度で持参いただいた方が、精子の運動率の低下が緩徐であることが分かりました。

精子は活性酸素という物質に対して非常に弱く、長い時間活性酸素に被曝するとDNAの断片化が起こることが分かっています。k suzukiらは 人肌温度が精子にとってbest出ないと報告しています。

k.suzuki et al  Static oxidation-reduction potential of semen increases during storage at higher temperature: it is not best to store semen at 37 ºC  European Society of Human Reproduction and Embryology. 2017

短時間(3時間以内)であっても低温(4℃)状態が続けば、精子の運動率は低下し、生存率も低下するようです。すると以下のことが予想されるのではないかと思われます。

精子生存率の低下→活性酸素量↑→DNA断片化率↑→良好な胚盤胞生成率↓→妊娠率↓

当院の採精カップは100ml程度で直径が70mm程度の大きさなので、そのカップが入る大きさの保温ビンなどは市販品では大きすぎるのはないかと思っていましたが、(株)ナカメディカルから丁度良いサイズのものが販売されておりました。当院でお渡ししているカップの入ります。

フタが改良されて裏側に温度シールがついており室温が確認できます。カップに採精する前にフタを開けて20−25℃の部屋でしばらく放置して、温度シールが20-25℃を確認して採精カップを保温器に入れフタをしてクリニックに持参していただきます。

持参する際の温度が気になっていた方へ

当院でも2月22日より販売いたします。診察室、受付でも購入が可能です。価格は2600円(税込)です。