流産を繰り返し経験された方へ

今回は流産に関してのお話です。せっかく授かった命なのに流産を経験し、悲しい思いをされた方へのメッセージです。外来で妊娠判定陽性後に喜びを分かち合い、その後残念な結果になった方たちとお会いすると、なんとお声をかけるべきなのかいつも胸が痛みます。私たちは患者様の気持ちに寄り添い、今後のために今できる検査や必要性についてご提案するしかありません。これからもこの気持ちをもって診療にあたりたいと思います。

この事実をお知りになると少し気持ちが楽になるかもしれません。

流産の発生する確率は次のようになっています。

不育症学級より　杉　俊隆

35歳女性の流産率が20%で、2回目の流産する確率は0.2²=0.04　→4%　3回目の流産の確率は0.2³=0.008　→0.8%となります。
こうしてみると流産を繰り返す場合に、不育の原因検索を行っても良いと思われます。

不育症の定義は国、地域で様々です。
ESHRE：ヨーロッパ生殖医学会
ASRM：アメリカ生殖医学会　WHO：世界保健機構

日本はアメリカ方式を採用しており、3回目以降を習慣性流産と定義しています。

平成24年3月に厚生労働省不育症研究班の提言で習慣性流産が不育症と同義扱いから2回の流産で不育症であるとなりました。

ただ、みなさんに知っておいていただきたいことは、流産となる理由としては血液凝固異常などでなく、胎児の染色体異常によるものが80%はあるということです。2回流産した方で2回とも染色体異常で自然淘汰された確率は0.8²＝0.64　64%です。64%の方は不育症検査で異常なし　不育症とは言えないのです。　3回ではどうでしょうか？　自然淘汰の確率は、0.8³=0.51　51%は不育症検査で異常なしとなります。

つまり不育症検査は、そこに原因があるかを突き止めるためでなく原因がないことを確認する検査であると知っておく必要があります。

当院で行っている不育症検査とご紹介します。

不育検査で分かったことについて実例をご紹介します。

35歳の患者様は、2回妊娠　2回流産

1度目は8週　GSのみで胎芽は確認できず稽留流産と診断後、胎嚢自然排出
2度目は9週　GS+)　胎芽心拍まで確認できましたが、次の診察で心拍消失、流産と診断後、胎嚢自然排出

上記の経験をされた方が、来院されました。子宮奇形はありません。流産の発症率と染色体異常で流産が起こった確率をお話した後、不育検査についてお伝えして検査を実施しました。

という結果がでました。今後はこの結果に基づいた抗凝固療法を行っていく予定です。NK活性については一定の見解はまだありません。

この方は、2回流産されましたが、特に今後の方針について前医よりご説明がなかったために、当院にカウンセリングで来院されました。まだ抗凝固療法を行い妊娠卒業という結果を得られていませんので何も言えないとは思いますが、この方の様に「今後どうしたらいいの？」と途方に暮れてしまう方もいらっしゃると思います。不育検査異常がないことを確認することになるとしても、採血結果で異常が見つかれば、また対策を打てるという一筋の光となり、患者様にまた妊娠をtryする勇気が湧くことになるでしょう。

流産の原因が本当に染色体異常であったのかを確認するには絨毛検査(絨毛は胎盤になるもの)を行うしかありません。流産手術を行う際に一部絨毛を採取して検査をしていきます。3-4週間程度で結果をお伝え出来ます。

当院では他院様で流産と診断されたけれども、絨毛検査を実施していない場合、当院で手術→検査を行うことも可能です。お悩みの方は一度無料カウンセリングをご利用して受診されてみてはいかがでしょうか？

日帰り手術については　2019.8.30　本当に大丈夫？　日帰り手術って　を参考にしてください

また不育症検査をご希望の方も当院で検査は可能です。

ご予約はお電話で　03-6450-7588